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新潟地方裁判所 昭和52年(わ)54号 判決

本籍

新潟県三条市島田三丁目一五一番地

住所

同市島田三丁目一〇番一九号

会社役員

清水清五郎

明治三八年一二月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中尾勇出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、新潟県三条市大字島田一五一番地において、清水製作所の名称で農機具部品などの製造販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、売上収入の一部を除外し、これによって得た資金を三条信用金庫島田支店などの金融機関に架空名義の預金口座を設けて簿外預金を蓄積するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四八年分の実際総所得金額が四、八五四万四、二八九円(別紙一修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が二、五四四万八、六〇〇円(別紙四の税額計算書中昭和四八年分参照)であったのにかかわらず、昭和四九年三月一五日、同市大字新保字上通一、一〇四番地の一所在の所轄三条税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二一四万七、六九〇円で、これに対する所得税額が二〇万八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右四八年分の正規の所得税額二、五四四万八、六〇〇円と右申告額との差額二、五二四万七、八〇〇円を免れ、

第二、昭和四九年分の実際の総所得金額が七、七八五万六、三七七円(別紙二修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が四、三八七万七、二〇〇円(別紙四の税額計算書中昭和四九年分参照)であったのにかかわらず、昭和五〇年三月一五日、前記三条税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八二〇万四、七七一円で、これに対する所得税額が一七八万七、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右四九年分の正規の所得税額四、三八七万七、二〇〇円と右申告額との差額四、二〇八万九、七〇〇円を免れ、

第三、昭和五〇年分の実際の総所得金額が六、二五八万六、〇三〇円(別紙三修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が三、二五七万二、七〇〇円(別紙四の税額計算書中昭和五〇年分参照)であったのにかかわらず、昭和五一年三月一五日、同市南新保四番九号所在の所轄三条税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、九二五万八、九三六円で、これに対する所得税額が六一七万六、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右五〇年分の正規の所得税額三、二五七万二、七〇〇円と右申告額との差額二、六三九万六、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人の当公判延における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の収税官吏に対する各質問てん末書

一、被告人作成の昭和五一年九月九日付及び同年一〇月六日付各答申書

一、清水二三郎、横山久直及び酒井鉄太郎の検察官に対する各供述調書

一、清水二三郎、横山久直及び酒井鉄太郎の収税官史に対する各質問てん末書

一、清水二三郎作成の答申書(添付表とも二枚綴りのもの)

一、収税官吏作成の「簿外売上及び売掛金調査書」、「たな卸高調査書」、「簿外経費調査書」、「保険料及び前払費用調査書」、「預金及び受取利息調査書」、「簿外受取手形調査書」、「借入金及び支払利息調査書」及び「事業主a/c調査書」と題する各書面

一、三条税務署長作成の昭和五一年五月二四日付証明書

一、検察事務官作成の電話通信書

判示第一及び第二の各事実につき

一、清水二三郎作成の答申書(添付表とも三枚綴りのもの)

判示第一の事実につき

一、被告人作成の昭和五一年九月一六日付答申書(添付表とも九枚綴りのもの)

一、収税官吏作成の「修正損益計算書」(検察官請求証拠等関係カード番号24)及び「脱税額計算書」(同番号25)

判示第二の事実につき

一、被告人作成の昭和五一年九月一六日付答申書(添付表とも一〇枚綴りのもの)

一、収税官吏作成の「修正損益計算書」(前同番号26)及び「脱税額計算書」(同番号27)

判示第三の事実につき

一、被告人作成の昭和五一年九月一六日付答申書(添付表とも八枚綴りのもの)

一、収税官吏作成の「修正損益計算書」(前同番号28)及び「脱税額計算書」(同番号29)

(法令の適用)

一、罰条 各所得税法二三八条(各懲役刑及び罰金刑を併科)

一、併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)、

罰金刑につき同法四八条(各罪所定の罰金額合算)

一、労役場留置 刑法一八条

一、懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

一、訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 白木勇)

別紙一

修正損益計算書

清水清五郎

自 昭和48年1月1日

至 昭和48年12月31日

別紙二

修正損益計算書

清水清五郎

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

別紙三

修正損益計算書

清水清五郎

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

税額計算書

清水清五郎

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